ナルニア国ものがたり Wiki

テンプレート:文学 ナルニア国(ナルニアこく、Narnia)は、C・S・ルイスの児童文学「ナルニア国ものがたり」に登場する架空の国。アーケン国の北、荒地地帯の南に位置する国。王都はケア・パラベル。イタリア・ウンブリア州ナルニに由来する。

地理[]

南方をカロールメン砂漠、北方を泥人荒地、西方を世果山脈、東方をアスラン海によって隔離されたナルニア地方のうち、南側の山がちな部分がアーケン国、北側の平野部がナルニア国である。

国土は西と南の山地を除いてはほぼ平野であり、街灯跡野、ドリアード森林地帯をへて、海に至る。

気候は温帯に属するが、北方と山地の一部は亜寒帯に属する。

言語と宗教[]

公用語は英語。宗教は、ナルニア国の創造主であり「海の彼方の大帝の息子」、「森の王」、「王の王」とも呼ばれる巨大なライオン、アスランを信仰するアスラン教。異教の排斥が周辺国、特にカロールメンから批判されている。

魔法が存在するが、用いる事が出来るのはアスランや魔女など一部の者のみ。

民族[]

  • 人型種として人間、小人(黒小人、赤小人)、巨人魔女など。
  • 混在種としてケンタウロス(作品中の表記は「セントール」)、フォーンなど。
  • 精霊種としてドリアード(木の精)、ナイアード(水の精)、星の精など。
  • 動物種としてアライグマビーバーロバなど。
  • 水生種として沼人。

政治社会[]

政教一致王政。テルマール占領以来、貴族制がある。王になれるのは人間種だけである。

社会はおおむね安定しているが、小人族は分離独立指向が強い。北方からは巨人国、南方はカロールメンからの脅威があるが、前者が散発的・偶発的なのに対し、後者は計画的にナルニア占領を画策している。ナルニアはそれに対し、要塞を整備しているが、本格的な軍備増強はなされていない。

カロールメンとは宗教的に対立している。その背景に、ナルニアの政教一致政体と、その下でのタシ教排斥がある。カロールメンはその是正を求めているが、ナルニアは一貫して無視しているために、交渉は決裂している。

経済的には余り見るべき産物はない。自給自足であるが、カロールメンへは馬、金銀などを輸出し、油・絨毯などを輸入している。奴隷、および物言う獣の輸出は禁止されている。

歴史[]

伝承によれば、創世主アスランがナルニアを含めた全世界を無から作り出したが、その際、滅び行く世界「チャーン」から邪悪な女帝ジェイディスが入り込んでしまったために、天の庭園から林檎を持ち込んで植え、その魔力でもってジェイディスを辺境へ追いやったとされる。

また、その同時期に「イギリス」と呼ばれる世界から召喚され、王座についたのが初代フランク王とされる。また、フランク王の第二王子は、ナルニアの南方を開拓しその地にアーケン国を興したと伝えられる。フランク朝は数百年続き、様々な伝承を産んだとされるが、考古学的・文献的には確かめられていない。考証されているのは次の「冬の時代」からである。

フランク朝が衰えると、衰えに乗じて北方からジェイディスが帰還する。反体制派から「白い魔女」と呼ばれたこの女王は、ナルニアを制圧し百年に渡って支配した。この時代は小氷河期にあたっているため「冬の時代」とも呼ばれる。ジェイディスは密告と刑罰によって恐怖政治をしいたため、ナルニアにはレジスタンス運動が発生した。そのレジスタンス運動を指揮したのが、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーのペベンシー4兄弟姉妹である。彼らは国民の不満を結集し、ついにジェイディス派をベルナで打ち破り、王都ケア・パラベルを回復、王位についた。長兄ピーターは開明君主として評され、“一の王ピーター”とも呼ばれる。ペベンシー朝は北方の巨人族を打ち破り、同盟国であるアーケン国に侵攻したカロールメンを撃退、また海外にまで植民地を建設するなど、ナルニアの黄金時代であった。しかしペベンシー兄弟姉妹は街灯あと野での狩の途中、行方不明になり、ナルニアは混乱期を迎える。この失踪事件については、未だ決着をみていない。

これ以後ナルニアは小国が乱立し、小規模な戦闘が繰り返される時代が続いたが、その分立状態にピリオドを打ったのがテルマールによる占領である。テルマール人の出自は明らかでない。彼らの伝承によると、南太平洋という島から、超越的な力によってナルニアに齎された、というのであるが、おそらくは離れ小島諸島あたりの海賊であろう。

彼らは巧みな策略でもって、瞬く間にナルニアを掌握し、ベルナに新都を築いた。テルマール朝は数百年続いたが、その間ナルニアでは人間族以外の種族は言葉を発することが禁じられ、市民権を否定された。多数の非人間種が虐殺され、残ったものはレジスタンスとして地下にもぐった。テルマール朝後期には、王室内の権力闘争が激化する。例えば、テルマール朝最後の王ミラースは、実兄である先王カスピアン9世を暗殺し王位に就いた。その後、ミラースは実子が生まれたことをきっかけに、王位継承権を持つカスピアン9世の実子カスピアン10世の暗殺を試みる。カスピアン10世はかろうじて王宮を脱出し、レジスタンスに身を投じる。しかし圧倒的な軍事力差のために、反政府勢力は壊滅寸前まで追い込まれる。カスピアン10世は勢力挽回のために、樹木族の決起を求め、彼らの力を借りてついにテルマール軍を制圧する。カスピアン10世はケア・パラベルに王座を回復してカスピアン朝を設立するとともに、非人間族の市民権の回復を宣言した。カスピアン10世は国内の治安を回復するとともに海外に軍勢を派遣して領土を拡張するなど、航海王としても知られる。

以来王位はカスピアン―リリアン―エルリアン―チリアンと継がれるが、チリアン王の時に“アスランとその従者”を僭称する毛ザルのヨコシマ、ロバのトマドイ(トマドイがライオンの皮を被った)がカロールメンと通じ侵攻を手助けする。ケア・パラベルが陥落、ナルニアはカロールメン領になるかと思われた。しかし、ナルニア国の存在する世界そのものが終わりの時を迎え、ナルニア人、アーケン人、カロールメン人のどれも等しく滅びた。